犯罪被害者のための弁護士費用の援助

 弁護士というと、被疑者・被告人を弁護する弁護人の仕事を思い出される方も多いと思います。

 しかし、弁護士の仕事としては、逆に犯罪の被害にあわれた方を支援する仕事というのもあります。被害者として、何をどこに訴えればいいのかといった法律相談や警察や検察庁から呼び出しがあったときに付き添ったり、犯罪被害者等給付金の申請手続きを行ったり、犯人が裁判にかけられ、その裁判に被害者が参加できるといった場合に被害者参加弁護士として一緒に又は被害者に代わって法廷に立ったりするなどその仕事内容は様々です。

 そして、これらの弁護士の活動に対する弁護士費用については、公的な援助制度があります。

 まず法律相談ですが、知り合いの弁護士がいないときには、無料の電話法律相談を利用しましょう(お知り合いの弁護士に相談されると、そこの事務所で定めた相談料が発生します。)。東京の3つの弁護士会は、共同して無料の電話法律相談を実施しています。月曜日~金曜日、午前11時~午後4時 (03)3581-6666に電話をかけると、弁護士が直接応対します。電話代は相談者持ちとなりますが、東京在住の方以外の方でも応対いたします(15~30分程度)。電話相談の上で、弁護士と直接会って相談したいという方は、無料の法律相談が利用できます。これは事実上、東京若しくは東京近辺在住の方に限られますが、資料などをお持ちの方は、その際お持ちになり、弁護士からアドバイスを受けることができます。

 次に、犯罪被害者の方が、相談の対応をした弁護士に支援活動を依頼したいときは、日弁連委託援助事業(犯罪被害者法律援助)が利用できます。これも法テラスを利用することとなるので、通常の法テラスが行う民事法律扶助と混同されがちなのですが、両者は微妙に違います。民事法律扶助の方は、弁護士との間で委任契約が締結されれば、弁護士は法テラスから着手金を支払ってもらえて、これについて援助される方は、毎月5,000円前後の額の償還義務が法テラスに対し発生しますが、日弁連委託援助事業の方は、委任契約が成立して弁護士が着手金をいただいても、直ちに弁護士費用の償還義務が被害者の方に発生するものではありません。最終的に示談などで被害者の方に相手から経済的利益が得られたような場合には、償還義務が発生する場合もありますが、それ以外には償還義務は発生しないのです。その代わり、被害者の方が積極的に犯人を相手取って損害賠償請求をしようとする場合は、日弁連委託援助事業は使えず、通常の法テラスの民事法律扶助を使っていただくことになります。

 最後に、被害者参加弁護士については、国選被害者参加弁護士制度を利用しますと、こちらはその後示談などで経済的利益が得られた場合でも被害者の方に対し弁護士費用の償還義務が発生するということはありません。

 犯罪被害者に等なりたいものではありませんが、万が一犯罪被害にあってしまった時、もしかしたらこれは犯罪の被害にあっているのではないかと思った方、一人で悩むようなことはなく、まずは無料法律相談制度を利用して、弁護士に相談してください。